中国で現金の流通量が急拡大している。中国人民銀行(中央銀行)によると、紙幣や硬貨の形で市中に出回っている人民元は2010年末時点で4兆4600億元(約55兆円)となり、05年末に比べ8割増えた。高成長を背景とする現金需要の急増に加え、海外からの資金流入によるカネ余りの深刻さを改めて浮き彫りにした。人民銀はインフレや不動産バブルの抑止に向け金融引き締めを強化する方針だ。
日本の円の10年末の現金流通量は75兆8000億円。なお中国を4割弱上回るが、05年末比では約5%しか増えていない。世界2位の経済規模になったのが確実な中国の現金流通量は今後も急拡大が続く公算が大きく、日本を抜くのは時間の問題とみられる。
中国の10年末の現金流通量は前年末比で16.7%増だった。05年以降、毎年11~12%台のペースで増えており、10年の増加率は特に大きかった。国内総生産(GDP)成長率が実質で10.3%に達し、3年ぶりに2桁成長を実現したうえ、米国の量的緩和策などでだぶついたマネーが中国国内に大量に流入したことが背景にある。
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