広くいきわたっているトレンド、すなわち資本をめぐる国際競争と、広くいきわたっているバイアス(偏見)、すなわち市場メカニズムに対する過度の信頼である。バイアスとトレンドはブーム期では互いに強化しあい、バスト期ではどちらも崩壊する。バストを引き起こすものは、地球全体を勢力範囲とする金融市場とくにを勢力範囲とする政治との間の緊張にある。一旦資本が逆流を開始すると、その流れを邪魔してしてシステムの崩壊を引き起こす。グローバル危機はグローバル金融システム自体に内在する病理によって引き起こされる。
1997年に始まったアジア危機では、韓国と日本の銀行がタイ・マレーシア・インドネシア・香港等への貸し込みが発端である。自国の不動産・株価下落により始まる資本逃避に対して、防衛的に金利を上げざるを得ない。そうすれば自国景気に悪い影響を与え、自国通貨に売り浴びせられる。逆流が本格化する資本逃避に対して、資本規制のない新興国は流動性不足等の金融危機に陥り、特に外貨準備のない国から手を挙げていくことになる。
市場原理主義(Market Fundamentalism)者から悪とされている外貨管理規制をしている中国は、過去のアジア危機を勉強しているせいか、未だに外貨管理を徹底している。これにより、国境を自由に行き来するグローバル資本の悪影響を受けずに、未だ安定的な経済運営を行い高成長を維持している。また経済成長の足かせとなる人民元切上げにも抵抗を示しているのは、特筆すべき点だと思う。これらを解決する手段としては、ユーロのような地域共通通貨の使用が考えられるが、財政が各国に任されればユーロと同じ運命となる。
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