1.日本銀行は、15日、政策委員会・金融政策決定会合において、次回金融政策決定
会合までの金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを決定した。
無担保コールレート(オーバーナイト物)を、0.1%前後で推移するよう促す。
2.わが国の景気は、海外経済の改善を起点として、緩やかに回復しつつある。すな
わち、新興国経済の高成長や世界的な情報関連財需要の拡大などを背景に、輸出や
生産は増加を続けている。企業収益や企業の業況感は引き続き改善しており、設備
投資は持ち直しに転じつつある。雇用・所得環境は引き続き厳しい状況にあるもの
の、その程度は幾分和らいでいる。そうしたもとで、個人消費は持ち直し基調を続
けている。公共投資は減少している。この間、金融環境をみると、緩和方向の動き
が続いている。物価面では、消費者物価(除く生鮮食品)の前年比は、経済全体の
需給が緩和状態にあるもとで下落しているが、基調的にみると下落幅は縮小を続け
ている。
3.先行きの中心的な見通しとしては、わが国経済は、回復傾向を辿るとみられる。
物価面では、中長期的な予想物価上昇率が安定的に推移するとの想定のもと、マク
ロ的な需給バランスが徐々に改善することなどから、消費者物価(除く生鮮食品)
の前年比は、下落幅が縮小していくと考えられる。
4.4月の「展望レポート」で示した見通しと比べると、成長率は、新興国の一段の
高成長などを背景に2010 年度は上振れるが、2011 年度については概ね見通しに沿っ
て推移すると予想される。物価については、国内企業物価・消費者物価(除く生鮮
食品)とも、概ね見通しに沿って推移するものと予想される。
要すれば、2010年度の実質GDP成長率見通しを4月の+1.8%から+2.6%に引き上げた。2011年度については、4月の見通しの2.0%から1.9%にやや下方修正している。
5.リスク要因をみると、景気については、新興国・資源国の経済の更なる強まりな
ど上振れ要因がある。一方で、国際金融面での動きなど下振れリスクもある。この
2点、一部欧州諸国における財政・金融状況を巡る動きが、国際金融や世界経済に与
える影響に注意する必要がある。物価面では、新興国・資源国の高成長を背景とし
た資源価格の上昇によって、わが国の物価が上振れる可能性がある一方、中長期的
な予想物価上昇率の低下などにより、物価上昇率が下振れるリスクもある。
6.日本銀行は、日本経済がデフレから脱却し、物価安定のもとでの持続的成長経路
に復帰することがきわめて重要な課題であると認識している。そのために、中央銀
行としての貢献を粘り強く続けていく方針である。金融政策運営に当たっては、き
わめて緩和的な金融環境を維持していく考えである。
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