2011年11月30日水曜日

中国のもうひとつの問題点

前回は経済的な側面から中国の問題点を指摘したが、
今回は「政治的・外交面」における問題点を提起しておく。

人民解放軍が国家の組織ではなく、共産党の組織であることは、周知のことであるが、
毛沢東・周恩来時代は、彼ら自身が軍と一心同体であったため、支配下にあったことは言うまでもない。
ところが、現在の胡錦濤・温家宝政権、習近平・李克強の次期政権は文民出身であり、習近平が軍に近い存在とは言え、
文民出身には違いない。このあたりから、現在中が国が抱える問題点が露見する可能性を秘めている。

それは、戦前の日本(及び関東)軍の暴走、と大変似通っている。
共産党発足以来の仮想敵国である日本敵視の教育の成果としてナショナリズムを造成したと言えるが、
共産党政権が今や人民解放軍を支配下に置くことができなくなっている。
米国・日本寄り(特に胡錦濤は日本びいきだったが、)の政策が出されると軍が「売国奴」として政治に介入してくる、それだけであればよいが、むしろ暴走しているというのが正しい表現であろう。尖閣諸島問題ではその一端が見えた。
特に2009年7月米中戦略経済対話から「核心的利益」を掲げて政策転換の宣言をしたことが火をつけた格好だ。
今は米国政府の干渉(手段としてTPPも用いているが)により、南シナ海についてはボイスダウンしているが、台湾・チベットについてはその主張は不変だ。

今後、景気が後退局面で、特に不動産バブル崩壊の中で、人民解放軍がどのような動きをするのかが問題だ。今までの軍の挑発的な行動は、すべて政権における軍の優位性(たとえば、軍事費拡大路線維持・空母建造等)を示す単純なものであったが、何らかの拍子で人民(あるいは他の勢力)と結託した時には、共産党政権の脅威になる可能性は十分ある。

また、日本にとっては、習近平は胡錦濤ほど日本びいきではないことから、政治・経済摩擦が今後増すことは避けられない。なぜならば、人民の不満をどのように抑え込むか、日本をスケープゴートする方法は今後もさらに増して多用されることが予想される。したがって、中国でビジネス展開している日系企業については、今後ますます苦戦が強いられることは明らかだ。

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