2010年10月18日月曜日

バーナンキ議長講演

バーナンキ米連邦準備理事会(FRB)議長の15日の講演要旨は以下の通り。
 【景気・物価見通し】ここ数カ月で景気回復のペースは遅 くなり、当面は控えめな回復が続くとみられるが、成長率が来年に上向く条件は保たれている。ただ、2011年の成長率はここ数年と比べ高まりそうではある が、潜在成長率を大幅に上回りそうにはない。そうであれば失業率は緩やかにしか低下しないことになる。
 一般的にいって、インフレ率は基調として下がる傾向にある。基調となるインフレ率の低下は、(設備や労働力など)経済資源の利用が大幅に停滞しコスト上昇圧力が抑制されていることを反映している。
 【金融政策の目的】政策の選択肢を評価し、一般の人々に選択した政策について説明するためには、経済予測をするだけではなく、予測を政策の目的と比較することがきわめて重要だ。
 FRBは最大限の雇用と物価の安定を促進するという法令上の使命を負託されている。この目的に向かって我々がどう動いていくかを説明することは、我々の金融政策における戦略で重い役割を持つ。
 米連邦公開市場委員会(FOMC)メンバーは一般的に、長期的にみてややプラスのインフレ率がFRBの使命と最も整合的だと考えてきた。
 FOMCメンバーが示す景気・物価見通しによれば、同メンバーが(最大限の雇用促進と物価安定という)使命を果たすのに適切だと判断しているインフレ率は2%程度か、それをやや下回る水準だと考えていることがわかる。
 ところが最近の指標によれば基調となるインフレ率は約1%で、適切な水準と比べて低すぎる。経済情勢を踏まえると、短期の実質金利は高すぎることになる。デフレのリスクは望ましい状況よりも高い。
 最近のインフレの鈍化、使われていない経済資源の状況、インフレ期待の落ち着きを踏まえれば、基調となるインフレ率はしばらく適切な水準よ り低い状態が続くと考えるのが妥当だ。実際の失業率も10%近くで、持続的な水準と比べて高すぎる。来年にかけての成長率が潜在成長率をわずかに上回る程 度とみられることを踏まえれば、高失業率はしばらく続くと予想される。
 【政策運営】FOMCの目的を達成するには、他の条件が 変わらないなら一段の行動が必要な状況とみられる。ただ、金利はゼロ%以下にはできないため、低インフレ下の金融政策は制限される。政策金利がゼロであっ ても追加緩和は可能だが、コストを計算しながら使うかどうか判断しなければならない。
 例えば追加緩和の手段としてはFRBが保有する(国債など)長期証券を増やすことが考えられる。経験から証券購入は長期金利の引き下げに成功した。ただ、資産購入のデメリットのひとつは、我々がこの経済効果を判断する経験が不足していることだ。
 中央銀行が(政策運営などの見通しを)説明することも金融緩和の度合いを高める手段になる。もし必要なら、市場が考えているより長い期間、低金利を維持するとFOMCが予想していることを示す形に声明を変えることを検討する可能性がある。
 FRBは雇用拡大と物価安定という2つの目標の実現に取り組み続ける。景気回復や物価の適正な水準への上昇に必要であるなら、追加的な金融緩和を実施する用意もある。(日経電子版より)

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