上海外国為替市場で人民元の対ドル相場が続伸している。中国人民銀行(中央銀行) が設定する人民元の中間値(基準値)、終値とも2005年7月の元切り上げ後の最高値を更新し、中国当局の元高誘導姿勢が鮮明となった。米国の不満回避が 狙いとみられる。米議会は16日に人民元に関する公聴会を開く予定で、人民元相場は米議会をにらみ神経質な展開が続きそうだ。
市場関係者の注目を集めたのが人民銀が午前に公表した基準値だ。1ドル=6.7378元と、3営業日連続で切り上げ後の最高値を更新した。 13日に初めて6.75元台に設定されたが、上海の外資系銀行ディーラーは「6.74元台を飛び越えて6.73元台に設定し、元高を誘導したところに中国 為替当局の意図を感じる」と指摘する。
元相場は人民銀の弾力化表明後、しばらくは元高傾向だったが、8月中旬以降、一転して安値が続いた。中国経済が減速し、輸出業者に配慮して 元安誘導しているとの見方が出ていた。このため米国の議会や産業界では反発が強まり、人民元問題を政治問題化すべきだとの声が高まってきた。
16日の公聴会を前に米国からシグナルも送られている。5~8日の日程で北京を訪問したサマーズ米国家経済会議(NEC)委員長は胡錦濤国家主席らと会談した。人民元問題でも意見交換したとみられる。
公聴会に出席予定のガイトナー米財務長官は米紙ウォール・ストリート・ジャーナルに対し人民元の上昇幅に対し「とても小さい」と不満を示しつつ「彼ら(中国)も認識していると思う」と指摘。中国側の対応にも期待感を示している。
中国の8月の輸出は前年同月比34.4%増となるなど堅調で、当面は元高による輸出への懸念は薄れている。米公聴会をにらみ、市場では「中国当局がさらに元高誘導を演出するのでは」(外資系銀行筋)との見方も出ている。(日経電子版)
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